【 看板屋の仕事 】
ひとくちに看板屋と言っても、映画館の絵看板描きのようなハデな仕事ばかりではありません。地味な仕事も含めて、他の業種と変わらない仕事もたくさんあります。もちろん、ひとりでその全部をやっている人人もいますし、たくさんの人が分担してやっているところもあります。高い所の仕事が多いので、ときには、危ない場面もありますが、ときには違う視点を経験するのも楽しい人生経験です。
すこしずつ紹介していきましょう。
■営業
お客様から引き合いをいただくこともあります。企画を立てて、お客様に勧める営業もあります。どこまでお客様の立場や考え方を理解できるかがカギでしょうか。
私たち看板屋のお客様の場合、そのお客様の事業のお客様がいらっしゃる、という独特の構図があります。そのどちらもが私たちのお客様
■企画
営業とデザインの中間的仕事でしょうか。看板をつくる目的を具体化していきます。ときに無から有を創り出す苦労もありますがひとくちに看板屋と言っても、映画館の絵看板描きのようなハデな仕事ばかりではありません。地味な仕事も含めて、他の業種と変わらない仕事もたくさんあります。もちろん、ひとりでその全部をやっている、それを乗り越えた喜びもひとしおです。
■デザイン
お客様の目に訴える仕事はここらあたりからでしょうか。今はいろんな支援ツールも充実してきました。パソコンはその代表ですが、人の発想、着想を大切にしていきたいものです。
■管理
デザイン画をもとに部材の強度や耐久性を考慮して設計図面をおこします。
その仕様をもとに見積書を作り、納期を決めて契約書を作り、全体の工程を組立て、進み方をチェックします。
法令に則った手続きが必要であれば、それも忘れずに。
■製作
現場ともいいますね。もちろん工場のときもあります。
●基礎
看板を設置する場所に土台を作ります。地面とは限りません、ときには屋根の上に看板を設置することもあります。場所を決め、掘削、仮枠、鉄筋やアンカーボルトの配置、コンクリート打設、埋め戻し、など。一見すると看板屋の仕事かな?ということもよくあります。
●躯体
看板本体の工事です。仕様書をもとに、木・金属・プラスチック・石などの材料を無駄のないように手配をし、工程に従って納品されたものを、切断・曲げ・接合・塗装などの加工をしていきます。
●電工
ネオン管を加工して取り付ける、電飾の器具等を取り付ける。その配線をする、などです。いろんな電飾素材がでてきています。
●看板面仕上げ
これはさすがに看板屋固有の仕事でしょう。
筆を使って文字を描く。スクリーン印刷。コンピュータ処理の画像をプリンタから出力する。粘着シートをカットする。貼り付ける、などの作業があります。
●取付・仕上げ・納品
壁に穴をあけたり、天井から吊ったり、高い所であれば足場を組み、周囲に危険や汚損がないように準備をします。
取り付けられた看板が、ジャマになるというのは論外にしても、看板が付けばいいというのでなく、また落ちなければいい、というのでもなく、美しくお客様にお渡ししたいものです。
■販売・集金
ともすれば、作って終わりと思われがちですが、「お家につくまでが遠足」であるように、代金をいただくまでが仕事です。看板が働く(稼ぐ)までにはしばらく時間のかかる業種もあります。現金、小切手、手形、相殺といろんな方法があります。きちんとした領収書の書き方も知っておきましょう。
お客様の喜びの声を聞くのも看板屋として楽しい瞬間です。
■維持管理
殆どの看板が雨、風、太陽光線(紫外線)、湿気、高温、ホコリなどに曝されます。たまには、部材の製作メーカーも含めた私たちの経験不足から思いもかけないトラブルが発生することもあります。
お客様とメンテナンスの契約をする場合もありますが、たとえば電飾の電球ひとつを交換するにしても、脚立ひとつで済むのは珍しいくらいです。
万全の工事をしたつもりでも、部材の汚損・錆び・風化・劣化、そして最悪の場合は脱落に至ることもあります。我が子のように目が離せません。お客様とのコミュニケーションを密にしておくことも大事な仕事かと思います。
■最後に(お楽しみ)
看板屋って、小さい家庭的な事業所が多いのですが、組合ぐるみで福利厚生制度や就業規則の充実などをはかり、心身ともにはたらきやすい職場づくりを目指しています。
徒弟制度というのは古い言葉ですが、看板屋には良い意味でその名残があります。若い人の育成にとても熱心で、筆1本で独立する、という気概がまだ生きている業界だと言っていいでしょう。